側に近づくとスーッスーッ、と規則的な寝息が聞こえてきた
この状況だと言うのにかなりドキドキしている
「は、華……?」
肩を押さえて揺さぶると華は「んん……」と声をあげて目を覚ました
制服の乱れがない
幸いにも何もされてないようだ
「あれ……わた、くし…………?」
ボーッとしているのか言葉がたどたどしかった
「よかった、よかった、華!」
「……武瑠、ですか? 確か……!」
華はすがり付くような目で俺を見上げていた
「隆弘と智也は!? あの二人は私のせいで大ケガをおおわれたのです!!」
「大丈夫だ。 あの二人は今は病院で治療を受けている」
「そう、ですか」
その言葉に華は安堵の表情を浮かべていた
「華、帰ろう。 ここにいる意味はなくなったからな」
「……はい」
俺が手を差し出すとソッと重ねてベッドから立ち上がる
さほど意味のない動きだとしても俺の心臓の鼓動は速くなっていた