「……私は彼らの全てを壊したいのです。 かつて私の人生を壊したかのように……。

──ですから、あなたとはあいませんの。 ごめんなさい」


「……」


「北原さん、今から観客席で私と彼らの舞台を眺めていて下さい。 ──……終焉(おわり)まで」


見つめあって数秒後、北原はニヤリと笑い、私の手を取る


「……楽しみにしてるよ。 けど、途中から眠って最後まで見れないかも。 だから、アンタが舞台から降りたら教えてよ。

アンタがこれまでに演じてきた舞台の成果をね」


手の甲に唇を落とした後、笑みを浮かべたまま北原は部屋を出て行った


彼はもう戻ってくる事はないでしょう


けれど私がこれまで見てきた異性の中では天音に次いでマトモな人でしたね


──ですがこれはホンの序盤に過ぎません


「……さて、急がなければなりませんね」


次のステージに向けて、色々準備をしなければなりませんもの


静かになった部屋に私の笑い声だけが止まる事なく響いていた