「……足音はしませんでした。 ここは響きますもの。 おかしかったですので」
「聞き耳たてていたのもバレていたか」
男はククッ、とおかしそうに笑った
ひとしきりに笑った後に携帯を取りだし、操作して耳に当てる
何回かの呼び出し音の後に聞こえてきたのは聞き覚えのある声
『……何か用か』
いつもよりは低い声だったがそれは武瑠で間違いない
男は私に向けて口許に人差し指を当てて、静か利するように促した後に口を開いた
「こんにちは、雷光の総長さん。 今、おたくらのお姫さま預かっています」
『はっ……!?』
「護衛に付けていた二人とは仲良く遊ばせて頂きました」
『……テメェ、誰だ』
「そういえば名前がまだでしたね。 おれは海竜の総長しています。 北原-キタハラ-といいます」
丁寧な口調で男は名を名乗った
その目はどこかに楽しんでいるようにみられる


