「──終わったよ」


ここにいた彼女らを全員気絶させてから彼は私の方を見た


喧嘩に入り、途中で逃げ出そうとしていた子もいたが彼は見逃さない


「──お疲れ様です。 "天音"」


眼帯で隠れていない方の目を細め、私に近づいてギュッと抱き締める


彼らには言っている番犬とは私の表面上では幼馴染みの天音の事


要するに"番犬=天音"は成立する


「……ごめん。 華との約束を破りそうになった」


「いいんですよ。 天音は私の言い付けを守ってくれましたから」


落ち込んだ天音を宥めるように背中に手を回してポンポン叩く


言い付けとは、学校では無駄な血を流さない事


よほどの事がない限りは学校中の大騒ぎにならないように天音には動いて欲しいのだ


「……それにしても天音が破りそうになった約束とは何ですか?」


「それは……」


そこまで言って天音の目が鋭いものへと変わり、視線が入り口の方へと向けられ、そこに身を潜めていた人に向けて私は声をかけた───