「いいから、離れろよ! もしかしたら、そいつは……」


ゴッ!!


──一瞬の出来事だった


静まり返る倉庫


青ざめる男達


視線の先には血塗れに倒れた男とたっている人物


「道化師-ドウケシ-だっ!!」


誰かの声にその人物は男達に走り出す


その場から跳躍し、一瞬にして中央に着地する


「誰か総長呼んでこい!!」


「ひっ……助けっ!」


「あぁああ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」


そこからは正に地獄のようだった


ピエロのお面を付けた人物は身体を大きく使い、ダイナミックな動きで相手を錯乱する


尋常じゃない攻撃力で次々と倒していく


骨を砕く音の後に断末魔、赤い水溜まりを残していく


幹部クラスの男達も歯が立たず、倒されていく


時間にしてはほんの数分しか立っていない


立っていたのは全身返り血を浴びた人物ただ一人


だが、お面には返り血は一つも付着していない


その人物はあちこちから聞こえる呻き声の中で一枚のカードを落とし、その場を去った