「華は俺の隣だ」


さも当然のように空いている長イスに私を座らせ、武瑠が隣に座った


「……あの、真白に聞きたいことがあります」


「うん、なぁに?」


「天音はどうでしたか」


手に取ったお菓子を口に運ぼうとしていた動きが止まった


「……あー、彼なら話を聞いてくれたよ。 次からは屋上には入らないって」


……これは嘘ですね


口元は笑っているのに目が全然笑っていない


目で詮索するな、と伝えてくる


ここは、


「……わかりました」


言葉に素直に応じた方が賢明でしょう


それにしても先程から悪寒がしますね


真白と亮太はお菓子を食べていて、祐哉は読書


武瑠は何もすることはないからか、私の髪を触っていた


──私の髪は生まれつきの亜麻色なんです


降ろせば腰くらいの長さを今は左に瑠璃色のリボンで纏めている


珍しいのはわかりますけど異性の髪を勝手に触るのはマナー違反ですよね