「華ちゃんってさ、雷光の姫辞めたの?」


「へ? あ……わからないですね」


武瑠から何の一言もない


どのような言葉でも最終的な決定権は総長である彼だ


なにもなければ私はまだ雷光の姫だという事だろう


「え、それってなんか酷くない? 雷光にいれたの向こうじゃん! なのに今蔑ろにしてるじゃない」


「蔑ろだなんて、私はこれでも仲良くはできていると思っています」


「うっそだー! だって、噂で華ちゃんは脅されて仕方なく姫になった、って回ってきてるんだよ!?」


「…………それは本当ですか?」


「誰からかは知らないけど本当だよ!」


驚いた


まさか私が脅されてると思われているなんて


「アタシは本当だと思ってる! だって穏やかでにこやかなまるで天使みたいな華ちゃんが暴走族に入ってんだよ! 絶対何かあるって!!」


「……まぁ、天使だなんて……大袈裟ですよ」


「大袈裟じゃないよ! あたしも初めて見た時は別世界の人間じゃないかって思っちゃったし!」


「……」


圭衣さんは兎に角素直だった


悪く言えばこの場合、馬鹿正直とも言える