プルルルルップルルルルップルル……ガチャッ


『──……何だ?』


古い携帯から何度もかけ、出てきたのは明らかに寝起きのような低い声


「私です。 この電話をかけてきた意味がわかりますか?」


倉庫を出て家路につくまでの道のりを歩きながら電話をかけている


因みに、後ろを振り返っても倉庫は見えない


行儀が悪いのは確かだが、幸いにも通りすぎる人はいない


それがかえって、好都合なんですけどね


『クッ……さぁーな。 何かあんのかよ?』


微かに聞こえてきた笑い声


「本当にいい性格をしていますね、剴。 人目に晒された上に写真まで撮られるなんて…油断が過ぎるんじゃないですか?」


『んだよ、特徴があてはまってたんだろ? ものの見事に"お前が探している相手"に、オレが』


「……!」


この人、わかっていて撮られましたね