「では、私はこれで失礼します」


ドアの前で頭を下げて、幹部室を出た


ドアを閉めた後、私はドアに背をついて聞き耳を立てる


理由は、只何気にだった


幹部室のドアは薄いが、小声なら下っ端が要りは所までは聞こえない


「──で、何か対策はできてんのか? 相手は素手じゃないだろう」


「武器の相手なら何度も戦ってきただろう? なんとかなるさ!」


「ちょっと、そんな簡単に言わないでくれる? 武器といってもパイプやナイフとかかわいいものじゃないんだよ!?」


錬さんの質問の武瑠の答えに佑哉が声を荒げていた


「最後まで聞けよ佑哉。 確かに組を相手に下っ端には酷すぎる、今鍛練しても間に合わないだろ?

だが、俺達には"切り札"がある」


「"切り札"……って、まさか」


「そうだよ、[道化師]を使うんだ! 道化師には最前線で、正面からやり合って貰う。 どうだ、いい考えだろう?」


「武瑠…確かにいい考えだろうけどさ、[道化師]は簡単に従ってくれるかな?」


「佑哉は心配性だなぁ。 近頃、"雷光にはバックに道化師がついてる"って話だ。 道理で抗争もなく、誰も無傷で毎日を過ごせている訳だ。

道化師は俺達を認めている。 だから、助っ人として来てくれるだろ?」


幹部室から笑い声が聞こえてきた