周りを欺く完璧な笑顔


例えるならば、全ての感情の色を"笑顔"という一色に塗りたくったよう


──それはずっと変わらない


俺は全てを吐き出すかのように胸ポケットから煙草をとりだし、火をつける


フーッ、と煙を吐き出した所である一つの気配を感じた


カシャッ


気配の先を辿るとシャッター音が微かに聞こえ、足音が遠のいていく


「……勝手に撮っといて逃げるのか」


月明かりが消えたわけではない


ぼんやりだろうけど、顔は写されたな


だが、カメラを撮った奴は心底のバカだ


後先を考えていなかったのだろう


「……追いますか?」


部下が殺気を放ちながら聞いてきた


ここで、肯定すると写真を撮った奴はすぐに殺されるだろう


だが……


「ほっとけ。 奴はあの女の獲物だ」


"ある契約"をした以上、勝手な行動は掃除屋としてのご法度だ