「──お疲れ様です、剴さん」
背後から部下に労われるようにタオルを渡された
至近距離だから、浴びたのだ
人の中にある赤く汚いモノを……
雲が晴れたのか月明かりがその場を照らす
男は仰向けに倒れ、首からは勢いはなくなったが赤いモノが未だに流れ続けていた
「お前ら、一切の汚れもなく始末しろ」
「……この男はどうしますか?」
「通り魔に襲われたように見せかけ川に沈めろ」
「「「はいっ!」」」
俺はどうも優秀な部下に恵まれたようだ
言われた指示を迅速かつ完璧にこなす
普段は、部下に丸投げしているが今日の今日は俺自身がやらなければ気が済まなかった
理由は簡単
[菊川華]という女が気にくわないからだ
一言で言い表すと、同族嫌悪
光を嫌い、闇を好み、人の不幸を喜び貪る姿に初対面時から嫌悪感を抱いていた
それ以上に、それを隠す上っ面な笑顔がより殺意を沸かせてきた