連絡帳の華の文字を押して、耳に当てる
プルルルルップルルルルップルルッ……ガチャッ
コール音が一回、二回、三回目に入った途中で止まった
『──もし、もし?』
恐る恐ると言ったように電話口かは可愛らしい声が聞こえてきた
「俺だ。 今、抗争が終わった。 危ない所だったが、なんとか勝った」
『……そう、ですか。 それを聞いて安心しました』
「それで、だな……」
声が聞きたかっただけで話の内容は考えていない
何か考えておけばよかったとすぐに後悔する
『あの、武瑠……電話で言うのもどうかと思います。 ですが、これからの事を考えると今しかないも思うのです』
「なんだ、言ってみろ?」
『実は……夏休みの間は叔母の手伝いをするためにあまり倉庫に行けないのです。 申し訳ありません』
「……あぁ、そういう事なら気にするな。 自分の都合は優先してもいい。 行ける日があれば今のように電話してもいい」
『……ありがとうございます。 では…また「……っ、華!」……はい?』
話を遮るように名前を呼んでしまった