ふたりで見つめ合って話し合って、お買い上げ。

「ありがとうございましたー」

 あーあ、みんなクリスマスだからって浮かれちゃってさ。

 あたしたち、仏教徒じゃん。外国から入ってきた習慣なんかに踊らされるなんてどうかしてる。

 おもしろくない気分で茶色いブーツのつま先でアスファルトを蹴った。

「ほっほっほー、ケーキはいかがかな」

 あいかわらずサンタクロースは仕事熱心だ。あたしも少しは見習って、さっさとケーキを売っちゃおう。完売したらその時点でバイトから上がれるしね。

「おいしいケーキ、いかがですかぁ」



 そうしてがんばったおかげか、三十分でケーキは完売した。

「やった、これで帰れる」

 うーんと伸びをするあたしに、サンタクロースが言う。

「お疲れ様。トナカイさんはサンタさんにどんなお願いをしたのかな?」
「お願い?」