(早く終わらないかな…。)

せっかくの高校の入学式だというのに、
私、広瀬夏奈(ヒロセ ナツナ)はとても憂鬱だった。

だって学園長の話が長いんだもん。

「君たちがこれからこの学園で、いろいろな…」

続きがなんとなくわかるってしまう、面白くもなんともない
お話を右から左へ聞き流しながら、教員席を見る。

(かっこいい先生とかいないかな…??)

一人一人の顔や服装を観察した。
ハゲとおばさんばっかり。

あーあ、最悪…。


クラスメイトも、さっき見た時は
普通って感じで、特に美少女とか美男とか
特に目立つ人はいなかった。


「以上をもちまして、第96回 入学式を終了致します。」

我に返ると、式の終了の挨拶が流れた。


(やっと終わったー!!)

ぐぅーっと背筋を伸ばして、靴を履き替える。

それぞれのクラスは担任の先生に付いていって、
教室に戻り解散となっている。

私のクラスは1−Aで、教室は3階の一番左端にあった。

教室につくと、皆黒板の指示通り席につき、
私も真ん中辺りの席に座った。

先生が明日の予定を話していると、
徐々に廊下が騒がしくなりだした。

(なんだろ…。)
耳を澄ますと、

「キャーっ♡」「イケメン!!」「王子様っ!!」
というような声が飛び交っているのがわかった。

(イケメン!? 王子様!?)
早く見たくてしょうがない。