好きやった。



2番目に来たウチよりもすでに先にいた月島はジャージ姿で、ウォーミングアップも終わらせたあとだったらしい。

少し上気した顔が、それを物語っていた。


「おはよ、月島。なにー、話って。またどうせくだらん話なんやろ?」


目の前に立ちはだかって邪魔くさい月島をしっしっと手で払い除けながら、更衣室に向かって歩き出す。

挨拶をすっぽかして、こうやって何かを話したそうに月島が駆け寄ってくるのは、今日が初めてのことじゃなかった。

大抵その話の内容は、RPGのゲームを1日で全クリしたとか、夕飯に唐揚げを100個完食したとか、月島の何気ない日常の一部なんだけど……。

なぜか月島はその何気なくてときにはくだらない自分の話を、いつも大々的にウチに話してくる。ビッグニュースでもなんでもないのに、今みたいに話したくてうずうずしているぐらいだ。

しかもそのくだらない話、他の友達に話してるところあんまり見たことないんだよね。なんでかわからんけど。


……まあ、でも、それでもええかなって思う。

月島のこの話を聞けるウチは特別なんかもって、ちょっとした優越感に浸れるから。

それに、月島の話は好き。

くだらないようなエピソードばかりだけど、意外とこれが毎回面白くて。いつも笑わせてもらっている。


体育館の隅にある更衣室に向かって歩いていると、月島がむすっとした表情であとをつけてきた。

二人きりの体育館に、ウチと月島の声が響く。