好きやった。



月島は腕の力を緩めながら言った。

それを合図に間合いを取る。でもいくら身体が離れても、月島の目がウチを縛りつけていた。

強がっているウチの気持ちを見抜こうとする意志の強い瞳から、目を背けることなんてできない。


「嫌われたら困るけど……そんときはまた仲直りするからええ」

「いや、でも……」

「それに俺は今、井ノ原に避けられとる方がよっぽど困っとるからな」

「……っ」


月島に言われたことがぐさりと突き刺さる。

……ああ、ウチは。

結局どんな選択をしても、月島のことを困らせてしまうんやね。

困らせたくないと散々豪語自していたくせに、全然自分が思った通りの結果になっていない。

自分の愚かさに自己嫌悪した。


「……友達やめるなんて言うなよ」


傷ついたような顔で月島が言う。


「井ノ原だって、本当はそんなこと望んでないやろう?」

「……本当に思っとることやよ」

「ええ加減嘘つくなよ、そんな泣きそうな顔で!」


月島が語気を強める。冷たい空気がびりびりと震えた。

はっと息を呑むと、月島が眉間にしわを寄せて続けた。


「なんで……そこまでして嘘つくんだよ。昨日も今日も泣きそうな顔で言われて、全然説得力ねえよ」

「……」

「さっき、言ってたやんか。友達やめたくなかったって。あれが、井ノ原の本音やろ?」


……やっぱりあれ、聞かれてたんや。

月島が現れたときに予感していたことが的中していたとわかり、心がざわざわとし始める。

もう、気持ちを隠し通せない。