「――やっと本音言ったか、アホ井ノ原」
耳によく馴染んだ声が、突如鼓膜を揺らした。
驚いて振り返ると、開けっ放しにしていた倉庫のドアのところに腕を組んでもたれかかっている制服姿の月島がいた。
なんで月島がここにおんの?
男バスの方が先に片付けを終わらせていたから、もうてっきり帰ったと思ってたのに……。
月島は怒っているように思える険しい表情で、驚いているウチのことをじっと見ている。
今日初めて直視した月島の姿。
ただならぬ雰囲気の目線に気迫負けして、すぐに身体の向きともども目を逸らした。
……っていうか、さっき月島、なんて言った?
これってもしかして、ウチが直前に漏らしてしまった本音も聞かれてたパターンとちゃう?
突然の月島の登場によって、この状況を理解しようとする頭がパニックに陥っていた。
目だけで留美に助けを求めようとするけど、そんなウチの腕は背後に近づいてきた月島に引かれる。
身構えていなかった身体がよろけた。だけどこけることはなくて、むしろ振り向かせるように腕を引かれた勢いのままに月島の胸に飛び込んでしまった。
慌てて離れようとするけど、素早く長い腕の中に閉じ込められてしまう。
「なっ……!?」
「井ノ原に話がある。コイツと二人きりにしてくれやん?」
今まで聞いてきたどの月島の声よりも、一番近い場所で響いてくる。驚きとは違う意味で鼓動が跳び跳ねた。
さっきの言葉はどうやらウチではなく留美に向けられたものだったらしく、即座に留美が返事をした。



