まもなく授業担当の先生が教室に入ってきて、号令を経てから授業が開始される。
社会の先生が、歴史の事柄をまとめたものをさっそく黒板に書き始める。
それをせっせと写し始めるクラスメイトたち。シャーペンが滑らかに走る音を聞きながら、ウチは教科書もノートも開かずに、窓から見えるグラウンドに目を向けてぼんやりと考えていた。
体育の授業があるらしく、視界にはジャージ姿の生徒が映りこむ。
整列を始める生徒の中に、すぐにアイツの姿を見つけた。即座にアイツを見つけられるこのスキルは、アイツとウチが一緒に過ごしてきた時間の証のように思える。
……なあ、月島。ごめんな。
大事な友達って言うてくれたのに、勝手にその関係を切ったりして。
ウチだって、月島は大事な友達やよ。だからこそ、そばにいないことを選んだ。
でも結局それで月島を困らせているなら、本末転倒にもほどがある。
……やけど、もう遅いよな。
今さら、やっぱり昨日の言葉をなしにしてほしいだなんて、あまりにも虫がよすぎる。
どうしてウチは、いつも手遅れになってから気づくのだろう……。
一番大切な想いも一番大事にしたい相手も、ちゃんと手を伸ばせば届く距離にいたはずなのに。
×××
その日の放課後。
部活の時間が一番大変だった。
だって月島のことを避けようと思っても、同じ体育館内にいたら避けきれない。
ちらちらと視界に入り込んでくる姿を見るたびに、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
今さらどうすることもできない関係。
だったらもう決めたことを……言葉にしてしまった強がりを貫き通すしかないし、普段から極力月島との関わりを減らしていくしかない。



