好きやった。



がやがやとうるさい教室のざわめきをぼんやりと聞きながら、伏せたまま小さく頷いた。


「……自分で決めたことやもん。これでええの」


留美には昨日、事情をすべて話した上で今日の朝練を休むことも伝えていた。

月島の前で我慢し続けた涙をひたすら流しながら話す、上手くまとまっていないウチの話を、電話で留美は根気よく付き合って聞いてくれていた。

だけど月島と友達をやめることにしたウチの意見には、あまり賛成ではないらしい。

朝練も休み、隣のクラスの月島と廊下ですれ違うときも完全に避けた態度をとったウチに、留美は何度も言う。


「……ほんまに? ほんまにアイツと、友達やめたいの?」


ほら、また。

1秒前にもウチがええと答えた質問を、再度繰り返して投げかけてくる。


腕の中に埋めていた顔を少しだけ上げて、窓際の自席から空を見上げた。うっすらと曇った空は、優れないウチの心をまとうベールと同じ色をしている。


「うん……やめたい」

「じゃあ、なんでそんな泣きそうな顔しとんの?」


視線を感じて顔の向きを変えれば、留美が心配そうにウチの顔を見ていた。

自覚はないけど……もしかして、本当に留美が言うような顔をしとるのかな。

だから今日は、ずっと胸が痛いのかな。


でも、そんなのおかしいやん。

全部自分で決めたことやのに……。

まるでそれじゃあ、ウチがアイツの友達をやめたくないみたいやん。


「……なあ、留美」

「ん?」

「ウチ、バカや。ほんまに、バカっ……」


自覚したのは一瞬のことだった。

周りに人がたくさんいる教室だというのに目の奥が熱くなったのを感じて、慌ててまた腕の中に顔を伏せる。