「ご、ごめんって! 別に俺、ぼっちが悪いとかそういう意味で言ったわけやなくて……」

「……」

「気にしとることやったらごめん」

「別に、気にしとらんし」

「嘘や。さっき怒ったやん」

「怒っとらんて言うとるやんか。黙れクソ、クソクソクソ」

「いや、怒ってますやん……。クソ連発しとるし」


たじろぐ月島を見て、はあ、とため息をついた。

……あかんあかん、こんなんじゃ。

ウチ、コイツの恋を心から祝えるようになろうって決めたやん。

やったらこんな八つ当たりみたいなことしとらんと、ちゃんとコイツの頼みを聞いて協力したらんと……。

きりきりと胸が痛くなった気がしたけど、気づかぬフリをして口を開いた。


「……ええよ、買い物付き合ったる」

「えっ、マジで!?」


しょぼくれかけていた月島が、わかりやすく喜んだ顔になった。

信じられないといった感じで目を見開いているけど、その目は爛々と輝いている。

なんか……現金なやつ。
コイツが犬なら、今めっちゃ尻尾振ってそうやわ。


「けどウチが選ぶの手伝っても、必ずしも喜ばれるものになるとは限らんで。万が一そうなっても、ウチのせいにしやんといてな?」

「大丈夫大丈夫! 井ノ原が手伝ってくれるなら、絶対美亜も喜んでくれると思う!」

「何を根拠にしたらそんな自信持てるのか、謎なんですけど……」


すっかり有頂天になっている月島を、呆れながら見つめた。


「……プレゼントもええけど、まずは今日、ちゃんと仲直りせなあかんで?」


体育館の玄関の方に目を向けると、今日もいつもと変わらずに待っているあの子の姿が見えた。