好きやった。



ただ、それだけ。人と人の心が結ばれるきっかけは、想いを言葉にして伝えるしかない。

それをすることもなく、ぬるま湯に浸かってきたウチだから……。

だから、ほしいものも手に入らなかったんだ。


身をもって感じている。

どれだけ好きやと思っていても、それだけではどうにもならないことを。

好きでいる時間の長さなんて、好きな人の心を手に入れるために、なんの役にも立たないことを。


「……はあ」


12月の冷え込んだ学校の廊下に、ため息は白くなって現れる。

でもすぐに見えなくなって、吐いた息が目の前に漂っているのかどうかもわからなかった。

ウチの中に根付いているアイツへの恋心も、こうやってすぐに見えやんくなればいいのに……。


ウチはあと何回、アイツの前で平気なフリをして笑えばいいんやろう。

あと何回、嫉妬と後悔の思いに耐えたら。

アイツの幸せを願える友達になれるんやろう……。

ウチにはアイツの友達としてそばにいるしかないってわかっていて、そうなれるように頑張るしかないと自分に言い聞かせるけど。

それが思っている以上につらく苦しい道である現実を改めて突きつけられて、途方に暮れながら冷たい廊下を歩いていった。



 ×××



「重いなあ……」


金曜日。

2学期も土日を挟んで残りあと2日となったその日の昼休み、ウチは日直として面倒な仕事を先生に頼まれていた。

冬休みの宿題の問題集。

それを教室まで運ぶように頼まれて、今職員室で受け取ってきたところ。

クラスメイト40人分。20冊ごとに紐で括られている2つの束を両手に持ち、小さくため息をついた。