好きやった。



ぶつけることができない怒りはいつしか大きな悲しみに飲み込まれていて、ドリブルをする手もいつしか止まっていた。

月島が軽くドリブルをしてシュートを放つ。

ボールは綺麗な弧を描いて、リングネットを揺らした。

ミニバス時代から得意としている月島のシュート。

ウチが月島に惹かれるきっかけになった、月島がバスケをしている姿。

それがすぐ目の前にあるのに。駆け寄って手を伸ばせば、月島にだって触れられる距離にいるのに……。

月島の心には全然近づけない。ほしいと願っていたそれは、触れることさえもう叶わない。

振り返った月島が、にひっと口角を上げて言った。


「実はな……初めて美亜とキスした」


どうして、今。


「……へぇ、それはよかったやん」


照れくさそうに笑う月島に、ウチは笑いかけているのだろう。

心の中では、泣いてばかりいるくせに。

心からよかったなんて、ちっとも思っていないくせに……。


「もうな、めっちゃドキドキしてやばくて……」


また今日も月島は、ウチの気持ちなんて知らずに彼女との愛しい時間を言葉にして伝えてくる。

それを無理矢理笑いながら聞くたびに、笑顔とは裏腹な嫉妬と悲しみが心を真っ黒に染めていく。

ヒビが入ってボロボロの心を抱えているのは、息ができなくて苦しかった。



 ×××



「……ウチ、ほんま最低なやつやよね」

「そうでもないやろ。嫉妬なんて誰でもするもんやし」


昼休み。

同じクラスの留美に、お弁当を食べながら自分の醜い感情について相談していた。