「しかも春からって、8ヶ月も前から好きでおってくれたわけやん? そんな長いこと好きでおってもらえたなんて、俺幸せもんやなあって思えてな。なんか、この子のこと大事にしたいし幸せにもしてやりてえなあって、思ったんさ!」
相変わらず月島の顔を見ることはできなかったけど、きっと今日一番のいい笑顔で笑ったんだろうなってことは、声を聞くだけでわかった。
……なあ、月島。
その子の8ヶ月も長いし、別に時間の長さが長い方が有利やとかそんなわけないけど……。
ウチだって、4年も前からずっと月島のことが好きやったよ。
月島は全然気づいてもくれないし、むしろウチのこと恋愛対象にすら思ってくれていなかったけど……。
ずっと……ずっと好きやった。
他の男子のことなんて一切興味がないぐらい、月島のことだけをずっと想ってきた。
でも、どれだけ好きやと思っていても、月島の心は手に入らなかった。
そしてもう……絶対に、手に入らんくなってしまったんやね。
目の奥が熱くなる。
でも月島の前でなんて泣けない。
絶対泣くなよ、ウチ。泣いたってもう、どうすることもできやんのやから……。
ぎゅっと瞼を閉じて熱い波が押し寄せてくるのを堪えると、久しぶりに顔を上げて月島の顔を正面から見た。
幸せそうにはにかんでいるその表情を見ていると、堪えている涙や感情がめちゃくちゃになって出てきそうになる。
だけど無理矢理口角を上げて、今できる精一杯のましな顔を作った。



