「ね!美味しいでしょう?」

「いつもと変りなく美味しいよ!双葉寿司はネタが良いからね」

「ネタが良いのは当たり前じゃない雅君が仕入れてるんだから!」

雅君とはお母さんの幼馴染で商店街にある双葉寿司の大将である。

「随分会ってないけど雅さん元気?」

私はウニの軍艦巻きへ手を伸ばしを口の中へ…

美味しーやっぱり双葉寿司はネタが違うわ!思わず笑みが溢れる。

「元気よ!今は後継者を育ててるわ」とお母さんは嬉しそうに話してくれる。

「あれ?雅さん子供居たっけ?ってか結婚してた?」

「結婚してないし、子供も居ないわよ!知り合いの子を預かってるのよ」

「へぇー知り合いの子ねぇ…雅さん昔から面倒見が良かったからね?」

私の運動会も見に来てくれたっけ…幼稚園の親子競技に出てもらった事合ったなぁ…

あの時私が『雅君お父さんにしてあげても良いよ』って言ったら『アハハ嬉しいなぁ』って笑ってた。

人見知りの酷かった私が唯一懐いていた人だった。

小さい頃の事だけどあの時のことは鮮明に覚えいてる。

「その子がねえイケメンなのよ!だから今日もそのイケメン君に握ってもらちゃった」

「はぁ?雅さんが握ったんじゃないの?」

「違うわよ!雅君が握るって言ったけど、イケメン君が良いって言ったわよ!」

「…………」

「だっておじさんより若いイケメンが握った方が美味しいに決まってるじゃない❣ ウフフ」

はぁ…

マジですか?

さっきの私の感謝の気持ち「有難う」を返せ!

このオバサン何考えているのか……

娘の私でも理解に苦しむわ……