「歩ー、来ないなら行くぞ?」



挑発的な、銀髪の言葉。


ここで流されたら全てが水の泡だ。


こっちからの攻めでは駄目。


向こうから…俺に攻めてこなければ。


耳が痛くなるほどの沈黙の中、俺は少しだけ後退した。


プールの縁が、かかとに当たるくらい。



「無言ってことは…肯定だな。……行くぞ」



低い声と共に、銀髪が地面を蹴る。


……速い。


でも何故か、さっきよりクリアに視える。


トップスピードに乗り、今にも拳が俺の腹に触れようとした、その瞬間。




──俺は、後ろに蹴って……プールに、飛び込んだ。