「えー、佐渡七斗10票。」
よし。佐渡になっちゃえ。
「百合新10票」
「は?」
「杉浦萌亜(スギウラモア)8票」
「欠席2名。っと。」
ザワつく教室。
「じゃあ、百合と佐渡。どっちかやりたい方」
「「やりたくない」」
あたしの声と佐渡の声が重なる。
「俺バイトしてるし」
「いや、こちらこそだし」
「チッ」
「せんせー。佐渡くんがクラスメイトに舌打ちしたんで、佐渡くんでいいと思いマース」
あたしは舌打ちされたことにイラついて、挑発させるように言う。
「あー、そうだな」
「はあ!?」
「ってのは嘘で。そうだな、二人ともバイトしてんだもんな。票の取り直しするか」

