帰るとき、玄関先で、三神くんにぎゅーっと抱きしめられる。 いやらしい抱擁ではなく、 さみしいよー、の気持ちが伝わってくる。 私はそっと抱きしめ返しながら、言う。 「また明日ね」 「……うん」 なかなか離してくれない。 「……明日また、ごはん行こう?」 「……うん」 「また週末、泊まりに来ていい?」 「……うん」 「……三神くん? 練習時間、なくなっちゃうよ?」 笑った気配がして、ようやく解放してくれる。 「綾乃のそれ、反則」 苦笑している目が潤んでるのは、見ないふりをしてあげよう。