地味な君のお隣を ▽短編





「ねー、直人ー」



「なんだ」



早帰りだった沁音がニヤニヤしながら、俺を見る。



「それ、どういう心境の変化?」



指差す先は俺の顔。


「………うるせー黙ってろ」



「あははっ、愛ちゃん襲っちゃダメだよー」



「余計なお世話だ、勉強してろ」


階段を上がり、肘と足で器用にドアを開ける。



「はるなぁ」



そこには、ベッドに体育座りして俺を見上げる生田。



「………何してんの」



「クソとか、言ってごめん」



「は?」



「あたしがそんなこと言ったから、出てったのかと」



「あほじゃねーの。クソとか前からお前言ってんだろ。そんなんで怒りませんー、何年いると思ってるの」



ははっと笑い、テーブルにジュースを置く。



「良かった………」



「つかさ、思ったんだけど生田っていつから俺んとこ好きなの」



「え?今聞くそれ!」



体育座りしてんのに、もっと小さく丸まる生田。



「小4のとき、榛名が転校してきて、その1ヶ月後ぐらいにあたし階段から落ちそうになって。それ、腕引っ張って助けてくれたのが榛名だったの。それで、好きになった」




そういや、そんなこともあったな。



危ないと思ってめっちゃ必死で腕掴んだ。


小4の俺には人一人持ち上げる力なんてなかったけど、勢いで必死で引っ張った。



そしたら、涙目でありがとうって言われた。