「おー、榛名と生田がやってくれるのか。他にいなければ決めるぞー」
「え、俺?」
うんうん、と頷く生田。
「え、ちょっ、俺やりたくなっ」
俺が拒否しようとすると、目を潤ませる生田。
くそ、これには敵わない。
「んー?なんだー榛名」
「いや、……なんでもありません」
最悪。
『あんたら!誰が好きで転ぶかっつーの!1位になったんだからいいでしょ!あの時はるなが起き上がって走ってくれたから1位になれたんでしょ!全く!はるなに感謝しなさいよね!』
あの時、ピンと張った凛とした声で俺を庇ってくれたのは、薄茶でサラサラの長い髪を一つ結にした可愛い女の子だった。
……まあ、その可愛かった女にやりたくもない体育祭実行委員なんかにならせられたんだけどな。