俺に差し出されたのは手鏡。
恐る恐る自分の顔を映してみる。
「…………見えねえ」
ボヤけて見えない。
近づけたり遠ざけたりして、やっと見えた、と思ったとき、
「誰これ」
俺の口から出た言葉はそれだった。
「これ本当に鏡か?」
「うん」
「なんだよ、この超絶イケメンは。お前手鏡に写真貼るとかヤバイな」
ふん、と笑ってみる。
「ヤバイのは榛名。それ、写真じゃない。そこに映ってるのは」
「………?」
「榛名だよ。榛名の顔」
俺の頭はフリーズした。
え?俺って、自分の顔最後にちゃんと見たの、いつだっけ。
あれ?鏡さえもまともに見てなかったんじゃない?
風呂とか洗面所でもメガネかけてねえから、見えなかったし。
小6のとき目悪くなってそれっきり…………
「ま、あたしは知ってたけどね」
「はあ!!??」
「なめないでよね。あたしずっと一緒にいるんだから分かりますー」
「じゃあなんで、さっき驚いてたんだよ」
「だってさ!榛名の顔見られちゃったら、モテちゃうじゃん!すっごい焦ったの」

