地味な君のお隣を ▽短編





俺に差し出されたのは手鏡。


恐る恐る自分の顔を映してみる。




「…………見えねえ」



ボヤけて見えない。


近づけたり遠ざけたりして、やっと見えた、と思ったとき、



「誰これ」


俺の口から出た言葉はそれだった。



「これ本当に鏡か?」



「うん」



「なんだよ、この超絶イケメンは。お前手鏡に写真貼るとかヤバイな」



ふん、と笑ってみる。



「ヤバイのは榛名。それ、写真じゃない。そこに映ってるのは」


「………?」



「榛名だよ。榛名の顔」



俺の頭はフリーズした。


え?俺って、自分の顔最後にちゃんと見たの、いつだっけ。


あれ?鏡さえもまともに見てなかったんじゃない?

風呂とか洗面所でもメガネかけてねえから、見えなかったし。



小6のとき目悪くなってそれっきり…………



「ま、あたしは知ってたけどね」



「はあ!!??」



「なめないでよね。あたしずっと一緒にいるんだから分かりますー」



「じゃあなんで、さっき驚いてたんだよ」



「だってさ!榛名の顔見られちゃったら、モテちゃうじゃん!すっごい焦ったの」