ここは何処だろうか
真っ暗で静かで何も見えない
怖い…怖い…暗闇は嫌いだ


どんどん俺の心は落ちていく


暗くて静かで底のない
穴の中に
どんどん落ちていく


あの日母さんを失った
その日からずっと



「…希…様!優…様!優希様!」



俺を呼ぶ声が聞こえる
目を覚ました俺の目に写ったのは


車の中で俺を必死に呼ぶ梶谷の姿だった



「んー?どうした梶谷?」


目をゴシゴシこすりながら梶谷に問う

すると梶谷はほっとした顔で
こちらをミラー越しに見て答えた


「…はい、優希様がうなされていたようなので
お声をかけさせて頂きました」


「ですが…大丈夫そうですね失礼致しました」


梶谷はニコリと笑うと
再び前を向き運転をしだした


「んー、大丈夫だよ俺は大丈夫…」

この夢のことは梶谷には黙っておこう
言うと面倒なことになりそうだしな


俺はニコリと笑うとまた眠りについた