やっぱり神崎が心配して帰ってきたんだな…!


俺は文句を言ってやろうと
拳をギュッと握りながら部屋を出て
スタスタと玄関に向かう



「おい、神さ…き…?」



がしかし俺の前にいたのは茶髪の神崎ではなく
金髪の青い瞳で綺麗な顔立ちをした男だった



とっさにこいつが神崎の言う
もう一人のルームメイトだと気付いた俺は


失礼しましたーと言いながら
急いで部屋に戻ろうとする



だが、それを金髪が許してくれるはずもなく
呼び止められてしまう



「おい、お前誰だぁ?新入りかぁ?」


俺は、どこぞのチンピラかよ
って感じの喋り方で話しかけてくるそいつに



少しだけ恐怖を覚えながらも質問に答える



「そうっす、新入りっす
それじゃあ俺はこれで…!」



今度こそ逃げようと向きを変え
部屋へ向かおうとするが
またもやそれは止められてしまう


なぜなら、いつの間にか俺の後ろに立っていた
金髪が道を塞いでいたからだ


いきなり俺の前に現れた金髪に
体がビクッとする



「おい、それゃねぇんじゃねぇ?
自己紹介もなしで帰るのかぁ?」



金髪はそう言いながらこちらに近付いてきた


俺は嫌な予感がして後ろに下がる
だが俺の後ろには壁がありもう逃げ場はない



後ろが無理なら横に逃げるまでだ
しかしその考えがわかっていたかのように



金髪が壁にトンと手を置き
俺の逃げ場をなくす



これはいわゆる壁ドンってやつか?
全然嬉しくないしキュンともしない



むしろ俺は焦りと恐怖で胸がいっぱいだわ



てゆうか男に壁ドンって
ちょっとやばくないか?
…あぁそうか、こいつ男もいけるんだったな



「お〜い、聞いてるかぁ?」



その言葉にハッとなり慌てて喋り出す俺



「橘 優希っす
これからお願いしみゃすっ!
…お願いします…。」



あぁ、やってしまった盛大に噛んだ

俺は恥ずかしさのあまり
下を向いて固まる



そんな俺に驚いた様子の金髪は
シーンと黙っていたが


急に金髪が震えだした
すると…



「…ククッ…アッハハッハッハッハッ!
顔もいいし面白いから気に入ったぞぉ」



と言って俺の体をがしりと掴むと
肩に担ぐように俺を持ち上げ
リビングへと歩き出した



今まで我慢していた震えが
身体を掴まれたことにより、出始める
がまだそこまでひどくない



「っ離せ!」



俺は足や腕で金髪を殴るが
思うように力が出ず押さえつけられてしまう



「おとなしくしろって、優しくするからさぁ」



金髪は楽しそうに笑いながら言い
リビングの奥の、ある部屋へと入る


あぁ、どうしよう
誰か…助けてくれ!