当時、私はよい成績で地域の中学校とはまた違った中学校へ通うために進学塾に通っていた。この進学塾は私と同じような道をたどるものとしてみれば一線を画した実績を持っており、難関校と呼ばれる学校に対しても毎年何百人も合格者を出しているそんな進学塾であった。その進学塾は多くの校舎を持っており、もちろん私の通っている小学校の近くにもっ公社があったので私は小学二年生のころからその進学塾に通っていた。
 私が火曜日にその進学塾の授業があるという事でいつも通りに教室に入ると少しだけ笑い声がする。私はその時はとてもおかしいと思った。私は確かに泣き虫で人とは少し違った部分はあったものの、そんな人に咎められるような行動を行ってはいない。そんなことをしようものなら他人から笑われる以前に自分の良心がそんなことは止せと自制を掛ける。ならば一体どのようなことがおかしいのだろうか?私は隣の席の児童に聞いてみることにした。
 「ねえ、一体何で笑っているの?」
 「いやさぁ……、お前Aに告白しただろ?」
 私はAの名前を出されたことにとてつもなく驚いた。その隣の生徒は同じ校舎に通っているものの、私とは全く違う小学校に通っているからだ。本来ならばAの名前など知っているはずもないのに何故この児童がこの事実を知っているのだろうか?ともあれ、ここでノーと答えよう物なら何をされるかは分かったものではない。嘘をついたと知られて悪評を絶たせてしまうことは間違いない。私はおずおずとそうですと答えた。これが始まりだった。
 その児童は後にになって分かった事だが、私の通っている小学校の児童からその話を聞きうけたみたいだった。あの時覗き見していた児童が不運にも同じ進学塾の同じ校舎であったことが塾の児童に新たな自分の情報を与えたのだった。
 私はその日からと言う物の、塾の同じ教室の児童に散々そのことについていじり倒された。在るときはAの名前を連呼したり、本当は本物の花をあげたのにもかかわらず私が造花をあげたというでっち上げのうわさまで流された。その中でも自分に対して特に風当たりが強い奴がいた。今では私はその児童をあいつなどと呼んでいるが仮にBとしておこう。いちいちあいつあいつと呼んでいるのが馬鹿らしくなるし、それに私自身「あいつ」という単語をあまり使いたくないからである。
 Bは当時の所謂「美男子」と言うものであった。男子の癖におかっぱ頭でありながらも髪は絹のようにさらさらと頭を動かすたびに揺れ、体毛は少なく、なおかつ色白な奴だった。服に関して言えばそれこそ現代の小学生のものではあるものの、顔の部分だけ言えば中世の欧州の貴族のような風立ちと言ったらいいだろうか。そんな奴が私にとっての一番の脅威だった。
 Aの名前を連呼することはもちろん、私に対してはとても風当たりを強くし、なおかつ私のAに関することや私の私事に関することなど講師分け隔てなしに揶揄し、非難をした。