右隣の蓮の家から自宅に戻るとき、嫌でも目に入る左隣の家。


わたしたちが小学校3年生のとき、家庭の事情であーちゃんが引っ越してしまい、今では仲の良い老夫婦があーちゃんの家に住んでいる。


もし、あーちゃんがいたら今のわたしを見てなんて言うだろうか？


また大きな声で「なんて顔してんだよ！？」って言いなら手を差し出してくれるかな？


制服に着替えてトボトボと歩いていると前方にダラダラと歩いている蓮の姿。


その隣には栗色のフワフワした髪にお人形のような可愛い顔の顔立ちの菜穂ちゃん。


学校一の美少女で、蓮の彼女。


蓮はあんなに可愛い彼女がいるのになんでわたしなんか抱くのかな…？


それでも拒めないのはわたしが蓮を好きだから。



「おぉ〜熱視線」


背後から静かに耳元で声をかけられてビクッとする。


「びっ…くりしたぁ。驚かさないでよ、綾ちゃん」


「二ヒヒ、ごめんごめん」


悪びれた様子もなく笑ってくるのは親友の綾ちゃん。


男子バスケ部のマネージャーをしている明るく活発な女の子。


わたしが蓮のことを好きだと知っている唯一の友達。