「っな…」
「…勝てば、返してくれるんすね?」
番長の放った拳をしっかりと片手で受け止めた晴野は、静かな顔をしたまま番長を睨む。
放たれた拳は晴野の手に納まったままだ。番長が振りほどこうとしても、それ以上の力で掴んで離さない。
晴野が右手で拳を作る。その拳を何の容赦のかけらもなく、番長の頬に叩きつけた。番長の体はやすやすと飛ばされる。
「てめぇっ」
「来いよ。全員」
晴野の表情は静かなまま。激高した奴らが一斉に晴野に襲い掛かる。
なのに、晴野はそのすべてが見えているかのように払い、流し、的確に反撃する。
嘘だろ、こんなの…。なんでこんなに強いんだよ…。
決して堅がいいわけでも、背がでかいわけでもない。それでも、圧倒的な強さを見せつける晴野に敵う奴などだれもいなかった。
たった数分後には、晴野以外誰も立っていなかった。
息1つ乱さない晴野の表情は静かなまま、倒れた奴らを見下ろす。
だが、徐々にその表情に色が戻っていく。はっと我に返ったかのような晴野は、俺を見て苦笑する。


