「母親の居場所?」

「…自分にケリをつけたいんです」

「そうか…」

 それっきり黙った父親は、悩むような顔をして視線をそらす。

 会ったらまずいみたいじゃないですか…。

 目の前にいる父親を呼び出したのはお昼だったけど、その日の夜に会うことになろうとは…。しかも、なんでまた…。

「お待たせいたしました」

 運ばれてきた料理はフランス?料理。ついでに5品目くらいだったっけ?

 って、そうじゃなくて…。

「なんでまた高級店なんですか」

「蓬が久しぶりに会ってくれるからな」

「その辺の定食屋で結構です」

 話しにくいんですよ!いい加減に学んでくださいッ。

 今度からはお店まで指定しないといけないんですかね。この前は和食がいいって言ったらなぜかまた隠れた名店的なところに予約を入れてしまったはずなので。

 ほんとにこの人と私は血は繋がっているんでしょうか…。