「ふ~ん。じゃあ清牙頭上がんないわね」
「そうだな…」
さっきあったことを、買い物から帰る車の中で話すと、桃はいい上司だねとかよかったねとかより先にそんなことを言った。
桃らしいと言えば、桃らしいのかもしれない。
「そう言えば桃は何買ったんだ?」
「ん?聞いちゃう?」
「…変なものじゃないだろうな」
「そんな怖い顔しなくても大丈夫よ。ただの勝負服だから」
「…蓬も高校生だもんなぁ…」
それに、秋空くんという立派な彼氏候補までいる。
いつまでも子どものままじゃないとはいえ、少し寂しいのは事実だ。
「清牙だって、私のこと言えないじゃない」
「…ほぼ桃の見立てだろ」
「そう?私はいいんじゃないとか言ってないわ」
小さな紙袋をバックミラー越しに眺め、苦笑する。
結局、大人になることが寂しいとか言いながら、その手助けをしているようなものか。


