1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)


『わぁぁああ…』

 公園を抜け出して、この坂を上って、神社の中にあった1本桜。
 桜の種類が違って、少し開花がずれていたんですね。

 それを見つけて、うれしかったのは今でもしっかり覚えています。

『おや、桜の妖精さんかな?』

『ん?』

『こんにちは。お嬢ちゃん』

『こんにちは!よもぎはね、よもっていうんだよ』

『蓬ちゃんか。いい名前だね』

『しょめいよしの!』

『ん?あぁ、桜のことか。これはね、松月(ショウゲツ)というんだよ』

『しょーげつ?』

『そう。ソメイヨシノは桜公園の桜だね。…ところで蓬ちゃん、お父さんとお母さんは?』

『え?』

 そこで、初めて自分が1人でここまで来てしまったことに気づいたんです。

 もう、一気に世界が怖くなって、神主さんを困らせて、大泣きしました。
 お兄ちゃんって、叫ぶだけなんですから。神主さん困り果ててしまって。

 お父さんたちもいつの間にかいなくなっていた私を公園内で探し回っていたようです。まさか、公園の外に出てしまうなんて、考えられませんよね。

 結局、神主さんが警察に連絡してくれて、お父さんたちも連絡して、やっと私が神社に行っていたことがわかって、迎えに来てくれました。