1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)


『やっぱり、散ってるなぁ』

『桜!』

『そうだぞ。これは、ソメイヨシノっていう桜』

『?そめいよしの?桜は?』

『桜にもな、いろんな仲間がいるんだよ。これは、桜のソメイヨシノ』

『ふぇ~』

 ピンク色のじゅうたんがきれいで、でも木にはほとんど花は残っていなくて。
 花見客もほとんどいない。それでも、小さな私には最高のお花見でした。

 お父さんがいて、お母さんがいて、剣人さん、修也さん、颯人さん、紅葉さんがいる。
 それだけで、私の世界は成り立っていたから。

『よもぎ、飲むぞ~』

『おちゃけ!』

『よもぎもひと口…あだ!?』

『俺の娘に毒を盛るんじゃねぇ…』

 お父さんが怒るのも、いつもと同じ。

 この日、私はお花見と、ソメイヨシノという桜を知りました。
 後は、あぁ、三色団子ですね。お母さんの膝の上で1本だけ食べました。

 ピンク色が桜、白が雪、緑が蓬。春を示した団子だって。でも、それも諸説があるようですが。

 そんな私の初めてのお花見は、それで済めばよかったんですが、おバカな私は満開の桜が見たくなって探検してしまったんですよね。
 お父さんたちの目を離れていることにも気づきませんでした。