「聞いてた?
黄原君?」

「お、おう……」

物陰から、隠れていた黄原君が、頭を掻きながらやっぱり赤い顔で現れた。

立花さんには悪いかなって思ったけど……。
女の子の不安を知って欲しくて、わたしが呼んでおいた。

うみちゃんは「じゃあ、部活行くね」
と、さっさと行ってしまって、黄原君にわたしが話しかけていることに、気付かなかった。