人が亡くなった事をバネにして、新しい事にチャレンジする人もいる。


それがわかった俺は次は優志の所へと向かっていた。


優志の顔を思い浮かべると、気が付けばお墓の前に立っていた。


綺麗に手入れされているお墓で、昼間なら随分と日当たりのいい場所だ。


その中に、1人の女性が墓石にすがりつくようにして座りこんで眠っているのが見えた。


暗くてその顔はハッキリとは見えないが、赤いチェック柄のエプロンをつけている。


もしかして、あれは優志の母親なんじゃないだろうか?


エプロンを付けていることでそう思った俺は、そっと近づいてみた。


近くでよく見ると、目元が優志と似ているのがわかった。


こんな所で眠っていたら風邪をひくだろう。


そう思って周囲を見回すが、周囲に人影はない。


1人でここに来たのかもしれない。


俺はどうすることもできず、その場に立ちつくしていた。


寝息を立てるその人は時折優志の名前を呼び、そして涙を流した。


寝ている間もこんなに悲しみ、安らぐ時間がもてないなんて……。


俺はグッと拳を握りしめた。


優志に会わせてやりたい。


そんな気持ちが湧いてくるのを感じる。