沢山の花と、俺の好きなお菓子やジュースが並べられている。


その中にはクラスメートからと思われる手紙も何通かあった。


俺って案外みんなから好かれていたんだな。


特別な才能はないし、努力もそこそこ。


そんな俺でも思ってくれている人は沢山いた。


その事を、改めて感じさせられた。


その時だった。


いつの間に目が覚めたのか、ばあちゃんが立ち上がろうとしていた。


ばあちゃんは俺が死ぬ前から足が悪くなり始めていて、立ち上がるのに苦労していた。


いつもは家にいる誰かが付きそって歩いていたのだけれど……。


ばあちゃんは誰も呼ばず、自分の力で立ちあがっていた。


ヨタヨタと少しずつ少しずつ歩いて行く。


いつこけてもおかしくなくて、俺は不安になった。


でも、ばあちゃんは1人で部屋を出ると、ゆっくりゆっくりトイレまで歩いて行ったのだ。


その時、ばあちゃんは不安そうな顔でリビングの方を見た。


母親の泣き声はまだ続いている。


あぁそうか……。


家族がこんな状態だから、ばあちゃんは手助けしてもらう事をやめたのかもしれない。