すべてを思いだして俺は呼吸困難に陥ったように、荒い呼吸を繰り返していた。


額にはジワリと汗が浮かび、轢かれた時の衝撃を思いだす。


「お前は苦しまなくていい」


車掌がそう言い、俺の頭に触れた。


その瞬間呼吸は整い、汗がスッと引いて行くのがわかった。


「俺は……もう死んでいるのか……?」


まだ信じられなくて、俺はそう聞く。


車掌は「そうだ」と、頷いた。


「みんなも……ここに来る前に死んでいたのか?」


「そうだ」


俺は唇をかみしめた。


涙があふれ出そうになる。


俺たちは全員死んでいた。


ここは死んだ者たちが集められる場所だったのか……。


実験でも、ゲームでもない。


ここは現実世界でさえなかったんだ。


「この場所のことはなんとなくわかった。死んだ人間が償う場所。だから、みんなここで苦しんで死んで行ったんだ。でも、わからないことはまだある」


みんな、本当に償う必要があるのか?


どうしてそれを繰り返す?