この電車の行先……。


俺はギュッと穂香の手を握りしめた。


「ここから出る方法は……?」


そう聞くと、穂香はゆっくりと首を左右に振った。


それはまるで、すべてを思い出したかのように思える仕草だった。


不安が、俺の胸に渦巻く。


「ねぇ旺太。思い出した時に、思い出してほしい事があるの」


「え?」


「あたしたちは、また会える。必ず、会えるから」


そう言うと、穂香は俺の手をそっと離し立ち上がった。


「待って、待ってくれ穂香!」


咄嗟に穂香の手を掴む。


不安で胸が押しつぶされそうだった。


どうして自分だけ思い出さないのか、わからないことが恐ろしかった。


「全部……思い出したんだろ?」


そう聞くと、穂香は小さく頷いた。


「教えてくれないか。この空間の事。これから俺がどうすればいいか」


その質問に、穂香は困ったような表情を浮かべた。