愛されだけど極道さんですよ?

 というわけで時間はもとに戻って現在。

 私は見下ろされるように手を握られながら、今日初めて言葉を交わした同級生に告白されたようだった。


「……卯野って、私?」
「お前以外に卯野なんて苗字、うちにいないだろうが」
「それもそうですね」


 そう当たり前のことに納得してから、ううん?と首を捻る。

 
「なんで私? 話したの今日が初めてのような」
「……まあ、そういうことにしておくか」


 そう煮え切らない返事をした榊原くんは、どこか苦い表情を浮かべていた。
 どういうこと?


「それでもお前が好きなんだよ、付き合ってくれ」
「って言われても……」


 確かに榊原くんは恰好いいけれど、でもやっぱり今日話したばかりの人だ。
 本以外のことはほとんどなにも知らないし、まあようするに。


「じゃあ、お友達からでお願いします」


 私はきっぱりとひとつも照れることなく。
 榊原くんを振った。