時にはケダモノくんなのです









「一緒に食ってたのって五十鈴 奏と折原 健人?」








私のお弁当をつまみながら喋る遼はとことん礼儀知らずだ。






「ちょっと…


知り合いじゃないにしても先輩なんだから呼び捨てしちゃダメでしょ…」








はーいと空返事をする遼は注意をしても反省する様子はない。







遼は根はいい子なんだけど…




ちょっとひねくれ?てるのかな…。








「五十鈴 奏って女みたい。

今で言うカワイイ系男子?
横にいた折原って人の方がイケメンでかっこいいけど」






先輩つけないし…!!





それに前も薄々気づいたけど遼は五十鈴君の事があまり好きではなさそう。








「た、確かに五十鈴君は可愛い感じだけどすごくいい人なんだからね…優しくて…!」







昨日だって雨に濡れた私にすごく気を遣ってくれたんだし…







遼は何も知らないからそう言えるんだ。








「へぇー?

遼佳やっぱりあいつ好きなの?」






遼の切れ長の目が私を捕らえる。







弟だからドキドキなんてしないけどきっと姉弟じゃなかったら息が詰まってしまうだろう。







「そ…そんなこと…」







五十鈴君は私の憧れの人で…







好きだなんて別にそんなんじゃ…






「顔。


真っ赤ですけど」








遼の言葉に口に含んだお茶を吹き出しそうになる。