時にはケダモノくんなのです






「前中庭に来た時はまだ付き合ってなかったな〜」






あの日のことを思い出したのかベンチに腰掛けながら五十鈴君が喋る。







確かにあの時はまだ付き合ってなかったし…







私は五十鈴君のことが好きだってことも自分で気づいてなかったっけ…






「萩野に、萩野はまだ恋愛しなくていいんだよとかすっげーダサいこと言ったわ俺…。」






苦笑いしながら軽く頭をかく五十鈴君。






ちょっと懐かしいかも…。







「でもあの時にはもう俺萩野のこと好きだったからさ!

誰のものにもならないでって意味だったわけ!」






五十鈴君は少し恥ずかしいのかほっぺたがちょっと赤い。






そんな風に思ってくれてたなんて、嬉しさが沸き上がる。






「でも今は、もう俺の彼女だから変なこと言わなくて済むよ」







ニッと笑う五十鈴君はそう言って私の髪を撫でる。