「今から俺が言うこと、少しでいいから頭に入れといて」







耳元で聞こえる五十鈴君の声。






五十鈴君の腕に包まれながら、その言葉にコクッと私は頷いた。








「……俺は…」









俺はと言った五十鈴君はそれからなかなか口を開こうとしない…。







俺は…?







顔が見えないから表情が読めない。









「萩野のことが…す……………ごく心配なんだよ」






今までにないくらい歯切れの悪い五十鈴君は、急に顔を上げた。






何故か少し顔が赤い五十鈴君。








「だからあんまり心配させないで」








少しムッとしたような、でも真剣な顔で…







綺麗な顔でそんなこと言うから…







私の中で何かが高鳴った。