「あなた、さっきから人のこと『モンキー、モンキー』って、すっごく失礼だわ!」


キッと睨み付け、立ち去ろうとする私のポケットからりんごが落ち、男の足元に転がる。




「りんご、か……」




男は屈みながらリンゴを手にすると、「アダムとイブの禁断の果実ですね」と上目遣いに私を見つめると、りんごをカリリッとかじった。

なんか、変な人。

「し、失礼します」

私はクルリとその男に背を向けると、屋敷目指して一目散に駆け出した。