夢じゃないわよね。


ベッドに入っても、どうしてもさっきのジョージの瞳を、抱き締められた温もりを、思い出してしまう……。


結局、全然寝つけなくて、夜明けと共にベッドから起き上がると、屋敷を抜け出した。



その途中、ちょっとお行儀が悪いけど、厨房のテーブルの置かれた籠の中からリンゴを一つ失敬する。



外に出て朝の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込みながら、やっぱり思い出してしまうのは昨夜のキス。



「ああ……。もう、ダメだわ」



火照る頬を冷まそうと、屋敷近くにある小高い丘まで一気に駆け上る。


その丘のてっぺんにある木にスルスルと登り、一息つくとりんごをちょっぴりかじる。